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脳出血で倒れてから5年半。片麻痺は個性の一部になったようだ。今は、老をいかに生きるかに焦点が移っている。


by satarou22

片麻痺は治る?

「片麻痺は治る」と言うと、大変な誤解をもって受け取られてしまう。
「6ヶ月過ぎると、片麻痺は治らない」とする医学界の常識に対して、切り捨てられる片麻痺者側の異議申し立てとして「治る」と強い表現をするのであって、誤解を受けない言い方をすれば「片麻痺は(6ヶ月を過ぎても年単位のスローペースで)改善する」と言うところになるか。
そういう立場を、最も見識のある形で、科学的に主張しているウェッブサイトとして、
    渡辺一正さんのホームページ
がある。ここは、私が片麻痺新参者だったころ、大いに勇気付けられ、大いに参考にし、大いに学んだ、片麻痺関係で、一番にお薦めするホームページである。
拘縮を防ぎ、筋力をつけ、脳と末端との伝達経路の再構築ができれば、長い時間はかかるが、片麻痺は改善するという主張には、説得力がある。
# by satarou22 | 2004-08-19 12:10 | 片麻痺は治る?

私の症状

障害の程度は、2種4級(左下肢機能障害4級、左上肢機能障害7級)である。軽い方であるが、日常生活をしたり仕事をしたりするには十分に支障があり、あえて数値化すると、何をするにも発症以前の3倍から5倍のつらさがある。
左足 
退院時には、装具なし杖歩行ができていた。現在は、杖なし歩行。階段も手すりさえあれば、昇降可能だ。が、寒い日などは、棒のようになりどうしてもつま先がひっかかりがちになる。足裏の緊張は相変わらず強く、歩行が楽になっているという感じはあまりない。
左手
軽いものなら、つかめるようになり、少しずつ、改善が見られている。
話し方
左の頬の筋肉がうまく作動しないので、前のように、よどみなく話せないが、ゆっくりなら、ほぼ問題なく、話すことができる。しかし、大声は出せなくなった。
話し方ではないが、どうしても、食事を、ぼろぼろ、こぼしてしまう。
その他
眼の機能が格段に落ちた。近眼が前より進むと同時に、一気に老眼になった。他に、羞明(光がまぶしくて仕方がない状態、これが今一番つらい、つば付き帽は必需品)で悩んでいる。メガネをを何度も作り変えた。脳出血との因果関係がどのくらいあるのか、わからない(医者に尋ねてもはっきり答えてくれない)が、あることは確かだろう。
頭の処理速度が極端に遅くなった。すぐにオーバーヒートを起こしてしまう。特に、計算が苦手になった。つり銭の計算するのも面倒くさいときがある。

私より障害の重い人のつらさがどのようなものか、あるいは、若い人の気持ち(無念さ等)がどのようなものかわからない。だから、そのような人達に対しては、何も言えないし、また言う資格もない。
# by satarou22 | 2004-08-19 12:08 | 私の症状

片麻痺と仲良く

片麻痺は、出血の部位やその程度によって、症状が大きく違う。それ以上に、倒れた年齢によって、リハビリに対する考え方も大きく違っているようだ。
若い人は、時間があるのだから、「片麻痺を治して何かやる」の「治して」方に重点を置き、必ず改善すると信じて、あきらめずにコツコツと努力するのが良い。
が、 50歳台後半以降で、倒れた場合、片麻痺の障害と老化による体力の低下のダブルパンチを受けることになる。リハビリの面から見ると、リハビリによる手足の動きの改善、体力の増強と、老化による体の機能や体力の低下の微妙なバランスの上で、リハビリを行うことになる。
したがって、私の場合は、時の経過とともに「片麻痺を治して何かやる」の「何かやる」の方へ視点が移ってきて、今はもう「片麻痺と仲良くして何かやる」で良いと思っている。「片麻痺を治す」という発想はほとんど消えかけている。片麻痺と折り合いをつけて、残された日々を意味のあるものにする。「何をやるか」を考えることに関心が向いている。あくまでもあきらめずに改善に向けて挑戦すべきだと言う人もいようが、その辺は、もう人生観の問題だ。

リタイアを決めた私は、リタイア後の人生を支障なく送ることができればそれでいい。具体的には、時々、旅行に出かけることでき、日常生活を楽しく送ることができればそれでいい。
もう生きてきた時間よりも残された時間が気になる年齢である。改善に向けて、ひたすら修行僧のようにリハビリをするのではなく、リハビリはもちろん継続的に行うが、振り当てる時間は限定し、その中で効果的に「スマートで楽しく」行うことにしている。他の事により多くの時間を当てたいのである。前向きに考えた結果がそうなのである。

若い人や仕事に復帰しなければならない30,40歳台の働き盛りの人と、向き合うスタンスが違う。生に対する思い入れが違うのだ。
# by satarou22 | 2004-08-19 12:06 | 片麻痺と仲良く

退院後の心の立て直し

退院してすぐの時期は、程度の差はあれ、誰もが鬱状態を経験する。この時期は、むしろ心の問題が、体の問題より重要なのではないか。

私の場合、挫折らしい挫折のない、いい加減な人生を歩んできたせいもあり、落ち込みがかなりひどかったようだ。生きる気力を失いかけた時期が長く続いた。普段は強がっているけど、気が小さくて、ガラスの心臓なんだよな、これが。
循環器の医者に鬱状態について相談すると、「今は良い薬があるよ」と精神科を勧められた。心が動いたが、薬にはどうしても抵抗感があり、最後の手段として取っておくことにした。どなたか、もし薬で鬱状態を克服した方がいたら、詳細を教えてください。
何とか落ち込みから抜け出そうと、都の障害者福祉センターに行ってみた。片麻痺程度では、相手にされない感じ。チャレンジワークというパンフレットくれてそこに登録すれば仕事があるかもしれないと言われた。求めているものが全然違うって。
行政はあてにならないと知り、病院の療法士さんを通じて、片麻痺の先輩に遭うことができ、直接、話を聞くことができた。これは、役に立った。勇気が出た。何をすべきか、方向がついた。
次にに、インターネットを通じて、情報を交換しようとしたが、これはうまくいかなかった。原因は、片麻痺同士、気安く心が通じると錯覚してしまったことにあったようだ。今まで、まったく違う人生を歩んできた、感じ方も考え方も違う人間なのだから、そう簡単にいくわけはないの・・・。ヴァーチャル空間の罠にはまってしまった。
ネット上の付き合いも、現実の世界と同じように、初対面の人間同士が、細心の注意を払って新しい付き合いを築きはじめるのと同じだと心すべきだと学んだ。

そうこうしているうちに、心の危機は何とか切り抜けて、ときどき、ぶり返しはあるが、今は精神的にとても安定している。あんなに悩んでいたのが嘘のようである。
私の場合は、ポイントは、宗教(キリスト教)だった。これは断じて特定の宗教をすすめているわけではない。単なる選択肢の一つだと言っているだけだ。私が、たまたま、そういう時期と重なっただけなのかもしれない。

片麻痺の落ち込みからいかにして立ち直ったか。だれか調査をしてまとめてくれないかな。片麻痺ニューカマーには、とても役に立つと思うんだけどなあ。意味ある仕事だと思うよ。これはと思ったものが見当たらないんだ。

鬱状態を抜け出た後、どのような態度で社会に立ち向かっていくかで、その人の人間性が出てくる気がする。
# by satarou22 | 2004-08-19 12:04 | 退院後の心の立て直し

感情のコントロール

片麻痺になってすぐの頃は、感情失禁という状態に陥る。感情表現が短絡的になり、すぐ泣いたり、すぐ怒ったりしてしまう。
テレビでドラマやドキュメンタリーを見て、感情がこみあげ、すぐに泣いてしまう。どこか、子供時代に戻ったような気がして、素直に感情を表現することは、結構居心地がよかった。病気の症状の一つだと開き直り、女房や子供に見られても恥ずかしくはなかった。泣く方はそれでよかったが、怒る方はそうもいかなかった。つまらないことで腹を立て、そういう大人気ない自分に困惑し、さらに落ち込む一因ともなった。
やはり、片麻痺に成り立ての頃、過剰な自己憐憫、被害妄想にも悩まされた。
周囲が自分のことをなおざりにしていると感じたり、自分は世の中に必要のない人間でみんな自分のことをうとましがっていると思い込んだりするが、それは通過儀礼と考えるくらいの方が良い。周囲を不愉快にしないように、自分を抑えることができるようになるまで相当に時間がかかった。

これを書いている今日も、ドームシティのカフェデンマークというお店で「サンバギータの白い花」という本を読んでいるうちに、こみ上げてきて、涙を流してしまい、隣の女性に奇異の目で見られてしまった。まあ、いいっか。
# by satarou22 | 2004-08-19 12:03 | 感情のコントロール